そのあと、このあと・・・
彼は壁にもたれかかって座った。私はそれを横で見ている。彼の輪郭が地面に溶けていき、私だけがそれを見ていた。薄紫の輪郭が地面に消えた。いま「大丈夫ですか」と言ったならば、彼は答えるだろう。「それは誰のことですか?」「あなたのことです。」「あなたとはどちらですか?」「いまここに座っているあなたです。」「それでしたら大丈夫です。いま沈んだほうがほとんどを持って行きました。けれどわたしには経験が残っています。能力も未来も持っていかれましたが、ここに座ってあとしばらくすれば彼も何歳か年をとるはずです。それを待つのです。」
夏祭りの裏街道を歩いたら、右足とひざがふるえた。ファインダも揺れていた。