2008年11月22日土曜日

高い壁の部屋

高い壁の部屋の中で電話を待っていた。
かかってこないので、ある晩、自分から電話したが不通だった。
次の日も待っていたがかかってこなかった。
満月の夜に暗い部屋から電話してもやはり不通だった。
つぎの満月を迎えた夜も電話はかかってこなかった。

そして一年がたった日の明け方、電話がかかってきた。

いままでずっと待っていました。
朝の木々のささやきの中でずっと待っていました。
あなたに会えるのを待っていました。
でも私はもうあなたに会えません。
長い朝が終わってしまうからです。

私は受話器を置いて泣き、椅子に寝そべって泣いた。
そして高い壁の部屋を出た。

昼の太陽から白い羽根が舞ってきて心臓につきささった。
私は自由を感じた。

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