素焼きの顔を抱えて歩こう。
左腕はこう、肘を上げてもっと水平に。
足はそう、さっとリズミカルに。
顔を放り投げちゃダメだよ。
目の片方はつむらせて。
頭にはターバンを巻くのがいいな。
向こうから坊さんが歩いてきたら
上目遣いで会釈させなきゃ。
横から猫が飛び出してきたら、
ベロを伸ばしてひゅっと戻すんだ。
美人さんに出会ったならば、
ターバンめくって鼻を隠すんだが、
いつまでも日陰者ではいられないって言うので
手と足を取り戻して跡を付いていってしまったよ。
まあいいさ。
家に帰れば仏壇の陰に素焼きの顔がまたひとつ。
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2 件のコメント:
お面じゃなくて顔なのですね。
わたしだったら素焼きの顔じゃなくて、漆塗りのお面って言ってしまいそうです。素焼きの顔がピカソの陶芸のようにひょうきんで自由でありますように。
これは風呂に入っているときに見た白昼夢がもとなんですが、ごろっとした質感でオレンジ色の素焼きを、湯船の中でしっかり抱いてたんです。
彼は水木しげるのキャラクターの表情をしてましたよ。
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