一丁の銃を作りたかった男がいた。
彼の銃は堅い金属でできていて、
磨いても光らないが磨いたぶんだけ厳重になっていった。
銃身ができあがる前に彼は引き金を取り付けた。
銃床は最後に取り付けるつもりでいた。
なぜなら引き金がいちばん弾丸に近いと思ったから。
ある日、いつものように新幹線の座席で
銃身を広げて磨いていると、
通路を歩いてきたカラシニコフに出会った。
カラシニコフは銃身をたくさん抱えて
乗客に配って歩いていた。
それを受け取って弾丸を垂らしてみると、
きっかり4分の3条回転して落ちてきた。
他の乗客も彼をまねして弾丸を垂らしたので、
みんなの座席の下に76口径の穴が空いた。
彼は怒って、自分の作りかけの銃をカラシニコフに向けたのだが、
みんなの弾丸が自分に向いていたのに気づいていなかったのだった。
2008年10月21日火曜日
銃を作りたかった男(の悲劇)
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